おとなのたこ焼

だが、彼は小さく
かぶりを振った。


「今月いっぱいで、
辞めることに
なりました」


「えっ」


ぽつりぽつりと
彼が話すには
実家の酒屋を手伝う
ことになるのだという。
彼の父が腰を
痛めてしまい、
配達などが難しく
なってしまったのだ
という。


「今、仕事が面白い
ところなので...
残念です」


とん、と私達ふたりの
前にコップ酒が
置かれた。
屋台のおやじが、
ぼそっと言った。


「飲みなよ。
生憎、食いもんは
なくなっちまった
けどさ」


その時、屋台の
カウンターに置いた
たこ焼の包みが
目に留まった。
息子の顔が浮かんだが、
ごめんな、
と心で呟いて、
包みを解いた。


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あったか家族の物語
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